アーダールカード取得への長い道のり
始まりは去年11月のこと。
インドにアーダールカードというものがあるのは薄々知っていたけど、インド人のものだと思ってた。
ところがある日バンガロールの総領事館からのメールで、『3ヶ月以上在住の外国人も必須になりました。申請がまだの人は早くしてねん』とな。
それをうけてか本社からも『センセイも早急にアーダールカードの手続きを済ませてください』とのメールが。
いや、早く済ませてって言われても何をどうすりゃいいんだ???
すると、昼休みに事務のPちゃんから
『センセイ 出かけます』
『???』
『アーダールカード作りに』
『何か要る?』
『パスポートと外国人登録証があれば、大丈夫かと…』
他にインド政府に示せる公的書類もないので、とりあえずパスポートとショボいペラペラの外国人登録証を持って、向かう。
着いたところは、住宅地にあるボロい長屋のようなところ。
Pちゃんが中の男の人と二言三言交わすと、『センセイ、ここは違います』
だよねぇ、だってボロいもん。→まぁ、マイソールの建物はみんな似たようなもんだけど。
仕方なく退散。程なくして私は一時帰国。
帰国中、金融関係の知人からアーダールカードの話題も出たけど、『作らなきゃねぇ』なんて軽く流してた。
年明けインドに戻ると、上司から『Panカードが出来ましたよ』
そうそう、これもインドにいる人は必須と言われて、着任早々に手続きしたんだっけか。
時間がかかった割には名前と何故か20年以上も前に亡くなった父の名前と会社名が入ったもの。
本人でもなく日本人の故人の名前なんて入れて何の意味があるっちゅうねん。
でも、VISA取得の際も両親の名前と生年月日を申告させられたから、やっぱりカースト重視の国、出自を明らかにしないといけないのかね。
Panカードを手に入れ、またアーダールカードのことを忘れかけていたら、本社から『1月某日までにセンセイのアーダール番号を知らせるように』とのお達しが。
慌てたPちゃんが、また『今日アーダールカードの申請行きます』と。
昼休み、前回とは別の場所へ向かう。
またまた小さくてボロい事務所。
今回は看板にAadhaar cardの文字が!
これは行けそうな気がするぅ。
狭い事務所に人だかりが…それを物ともせず私のパスポートとPanカード、外国人登録証を握りしめ、人をかき分け、Pちゃんが受付の人に詰め寄る。
一言二言交わし、また振り返って首を振る。→ん?デジャヴ?いやな予感。
『アパートの契約書がいるそうです。午後3時に出直します』
あっ、ここで大丈夫なのね。
さて、3時。
アパートの契約書のコピーを用意したPちゃんと意気揚々と向かう。
すると、また受付の人と話したPちゃんが振り返って首を振る…オイオイ
『コピーじゃダメだそうです。社に戻りましょう』
仕方なく会社に戻りアパートの契約書の原本を手にまた向かう。
さっきより少し人が増えたけど、強引なPちゃんは突き進む。
やっと受付はしてもらえたようで、
『センセイ30min待ちます』
3度目の正直。とりあえず書類が受理されてよかった。
ところが、30min過ぎても登録カウンターは黒山の人だかり。
1時間過ぎても状況は変わらず…
狭い事務所に沢山の人。
全国民必須なので、お母さんに抱かれた乳飲み子から仙人のような爺さんまでまさに老若男女ひしめいている。
冬といってもインドの日中は30℃近くあり、西日が当たる事務所。
なんか気が遠くなってくる。
途中Pちゃんが『センセイは外で待っていてください』と。
外の風が気持ちいい。
30分ほど涼んで、中の人が減ってきたようなので、Pちゃんのところに戻った時点で5時。
『あと10minくらいかと…』
グッタリしたPちゃんが言う。
さらに待つこと1時間。
『センセイnext』
前に出ると、いきなりおばちゃんが
『マダム、エクスキューズミー』とな。自分の娘(小学校低学年くらい)を先にやらせてくれと。
なんだ、このババア(でも子供の年格好からいくと私より若いのか?)
係員にも早口で何やらまくし立て、割り込みやがった。
インド人の女って気が強い。
十指の指紋を取るのに、子供だから手汗かいてて、何度もエラー。
やっと私の番。
顔写真を撮る。でも粗末な事務所で背景に貼った白い布が落ちてくる。
ガムテープで貼り直す。
気を取り直して撮影。
すると『マダム、don't sleep』
うるせー、こっちはインド人みたいにお目目パッチリじゃない平たい顔族なんだよ。
仕方なく、目を大きく見開いて再度撮影。
続いて瞳の虹彩を読み取る機械を当てられ、指紋を採取し、終了。
時刻は6時半。
はぁ、3時間もこんなところにいたのか。
こんな苦労して、さらにカードが出来るまでにあと2ヶ月かかるそうだ。
アーダールカードを手に入れられるのはまだまだですな。
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