思えば遠くへ来たもんだ

思い立ったが吉日 インドで働くことになった日本語教師。
「日本語が教えられれば大丈夫」と言われて来た町は、英語も通じない。
果たして3年の契約を無事に全うできるのか???

若いって素晴らしい(笑)

日本語の授業を進める中で、各クラスでイジる子を見つけて例文を作ると学生たちにも親しみやすく、印象に残りやすいと思ってます。

今担当しているのは3クラス。

新卒ちゃんのクラスは人数も少なく、まだ子供なので、一人ずつプリンスとか泥棒(イケメンなのでハートを盗む)という勝手なあだ名にエピソードを付けて楽しんでる。

本人たちもノッてくれる。


N5リターンズという男子クラスは、三度不合格しているリーダー?が親分肌のいい奴なので、彼が私のことも他の学生のことも盛り立ててくれるので、助かる。


問題は入社2.3年目でN4を目指すちょっとオトナクラス。

去年はN5リターンズの落ちこぼれてやさぐれてた男子クラスを「おまえら本当に、日本へ行きたいか」と這い上がらせ、彼等は良い子に更生?し、12月のJLPTで見事にN5合格(私の実績✌️)そのまま持ち上がりでwin-winと思ってたら、

なんと去年担当した魔のN4クラスから二人が入ってきた。

魔のN4クラス それは始業時間に誰も来ない。宿題も誰もやってこない。授業中おしゃべりばかりで聞かない…という学級崩壊状態のクラス。

あまりに酷いので、本社の主任や副社長にもお目付役でSkypeで授業に参加してもらってたぐらい。

まぁ、辛かった。

そのクラスも転職やら転勤やらでクラス替えとなり、全員私の受け持ちから外れてホッとしていた矢先…二人がN4

不合格のため合流することに。

ドラゴン桜クラスはN4ビギナーなので、二人は他の支社のN4リターンクラスに合流した方がいいのでは?と抵抗いや提案してみたものの、主任からアッサリ「同じN4ですから」と言われ、敢え無く受任。


この二人(PくんとSちゃん)がやはり問題だった。

相変わらず授業中ずっと二人で話している。

どうもPくんはSちゃんのことが好きらしく、みんなが机に向かっているのに一人だけ椅子を完全にSちゃんの方へ向けて座り、話しかけている。

Sちゃんは悪い子ではないけど、Pがちょっかいを出すと相手をしてしまう。

Pのちょっかいというのが、靴を隠したり、消しゴムを遠くへ投げたり…これって小学生の男の子が好きな女の子にするヤツじゃん。

さすがに目に余るので、本社の役員向けに「あの二人がいると、他の学生の迷惑になる」と直訴メールを送ってみた。

すると二人は本社の主任から呼び出され、長々とお説教。

負けず嫌いのSちゃんは余程悔しかったのか、「センセイ、私はもう誰とも話しません」とPから離れて座るように。


Pはしばらく面白くなさそうにしていたが、日本行き選抜メンバーに決まりそうになり

「センセイ、私はマジメに日本語勉強します」と。おまえ、今からじゃ遅いよ。


でもやはりPくんはSちゃんのことが好きなので、Sちゃんが発言する度に

「それは違います」「あなたはダメです」と茶々を入れる。

そんなことが続いたので、

「前から思っていましたが、PくんはSさんが好きですね」と言ってみた。Pは真っ赤になってそっぽを向いたから、他のボーイズが盛り上がった。Sちゃんは「ごまります。→何故か濁音になるクセがある」

私も面白くなって、教科書に結婚とか彼氏彼女ネタの文や、導入の例えに二人のことを使って楽しみ、さらにそれを「今日のPとSの様子」といって他のクラスにも報告。

Sちゃんは最初のうちは「センセイ、他のクラスに私の話しないでください」と抗議してきたが、最近満更でもない様子。


昨日は「家族のために家を建てる」という例文をPに読ませて、Sちゃんに「Pが家を建ててくれますよ」とからかった。

そして今日、Sちゃんが朝から体調が優れないという。

すかさず「Pくん 病院へ連れて行ってください」と言うと

「えっ、あっ…いや」としどろもどろ。でも

「Sさん、薬を飲みましたか?」と気遣っている。

ふふふ、面白い。

しかも気付いたら、Pの奴Sちゃんの隣に座ってるし…コイツわかりやすい(笑)

今日はたまたま教材に梅干しが出てきた。

するとSちゃんが

「センセイ、それはどんな味?」

「酸っぱい…sourですね」と答えたら

なんとSちゃんが

「センセイ、私それを食べたいです」


ん?!

若い女の子→体調悪い→酸っぱいものが食べたい→赤ちゃん!!

私もよせばいいのに

「日本では、酸っぱいものが食べたいのはお腹に赤ちゃんがいるときです。もしかして…」とPを見ると教科書に顔を埋め隠れてる。Sちゃんもキョトン。

他のボーイズは「おめでとうございます」

Skypeで参加してる本社の男の子達も

「そうですか!」


昼休みの後、他のクラスで今日の一件を報告。

するとSちゃんとランチを一緒に食べた女の子が「お昼ごはんを食べているとき、Sさんから聞きました。それからPさんからも聞きました」と。

なんだ、二人とも自分達で広めてるんじゃん。


夕方、支店長が外出していたので、

「おめでとうございます」「いつ生まれますか?」

既に全員周知の事実となっており、社内は大盛り上がり。

Pは椅子を低くしPCに隠れるように仕事をし、Sちゃんは真っ赤になって「いいえ、ちがいます」と否定して可愛い。


ホントは敬虔なヒンドゥーだから、恋愛結婚も少数派だし、結婚前に妊娠なんてあり得ないけど…


20代半ばの若者ばかりのこの支社。こんなロマンスがあってもいいよね。


頭痛のタネだった二人。当分このネタ使って、楽しませてもらうぜっ。

さて、明日はどんな例文にしようか…



ミランダカーさんって言うと「毎日かーさん」みたい(笑)